身近にある有用な植物として、大豆(ダイズ)を取り上げる。

医療 食と健康

日本人の多くは、ほとんど毎日のように、大豆を原料とする食品を食べています。いわゆる和食というものを思い浮かべるとき、豆腐やみそ汁は、あたりまえのように、献立の一品となるはずです。

ただ、煮豆のようなものでない限り、大豆をそのままの形で口の中に入れることは、むしろ少ないかもしれません。

しかし、さまざまな形態に加工され、あるいは醸造されてはいても、私たちの食と健康に重要な影響力を持つものであることは、間違いありません。

過去記事:豆乳のような植物由来の代替乳について、本当の牛乳との微量成分(ミネラル)比較を明らかにする。

これまでのこのシリーズでは、基本的に野生の植物を取り扱ってきましたが、今回は、完全に農業生産物としての植物を取り上げます。

大豆は、野生のツルマメを改良して作られたもので、そもそも人間が長い年月をかけてつくりだした、ツルマメの品種といえます。
もちろん、その品種はひとつだけではなく、主にアジアで作られているのは、以下のようになります。
 ・東山(とうざん)94号
 ・農林2号
 ・タチスズナリ
 ・十育(といく)182号・・・納豆用
 ・赤莢中粒(あかざやちゅうりゅう)
 ・青大豆・・・黄粉用
 ・中生光黒(ちゅうせいひかりぐろ)・・・煮豆用
 ・茶豆・・・炒り豆用
 ・クラカケ
 ・雁食(がんくい)・・・浸し豆用
 ・黒雁食・・・煮豆用
  (※朝日百科 植物の世界№45 より引用)

私が普段、煮豆用に使っているのは、どうやら「農林2号」ではないかと思います。ふつうに調理に使うために売られているもの(業スーで税込み458円/1kg)ですが、煮豆用の大豆というものを知って、どうにか入手したいと思うようになりました。

ところで、毎週1回のペースで、煮豆を作っています。偶然のタイミングで、この記事を書きながら、煮豆を作ります。

調理前
調理前:乾燥大豆180g

現在の大豆はツルマメを改良したものである以上、ツルマメそのものは食用になるはずです。これは野生種ですから、これからの季節、十分注意して歩けば、もしかしたら手にはいるかもしれません。

あと、いつもの”Science Daily”に、以下の記事を見つけました。

Trial use of soybean waste to tackle obesity(大豆廃棄物を活用した肥満対策の試み)

内容を簡単にいえば、「発酵大豆廃棄物またはおからが脂肪代謝を改善し、食事による肥満の影響を軽減できることを発見」したということです。シンガポールのナンヤン工科大学 (NTU シンガポール) と日本の早稲田大学が協力しています。


毎年 1,400 万トンのおからが生産されており、世界人口のほぼ 3 分の 1 が太りすぎまたは肥満です。科学者たちは、彼らの発見が、発酵おからがいつの日か健康食品に組み込まれる道を開くことを望んでいます。


こんなことを書かれてしまっては、ちょっとショックをうけませんか?

調理後
調理後:容器を除くと430g

大豆関連食品が健康志向に合っていることは、ずいぶん昔からいわれていることですが、もともと日本人の食生活に溶け込んできたものであるし、「メタボ」という状態とは縁遠かったことの、いくつもの理由のひとつであることは疑う余地ありません。

また、「続・薬草カラー図鑑:井沢一郎」によれば、大豆のなかで、薬効をうたわれているものは、黒大豆だけだそうです。炒った黒大豆を煎じて飲むと、風邪でせき・熱があるときに有効であり、また、ほうじ茶とあわせて飲むと、利尿・解毒にきくとあります。

日本薬局方では、ダイズ油として、食用以外では軟膏基剤、塗料、リノリウムへの利用が記載されています。

とにかく、大豆が食料として重要なのは明らかであり、片手間で「煮豆」にすることもできます。ですが、私が大豆を日常的に確保し、使用している最大の理由は、素材のまま長期保存が可能なことです。上の業スーの大豆の場合、1年後の賞味期限となるように品出ししているようですが、私は賞味期限経過後でも、+1年くらいは問題ないと考えています。

食料事情が、なにかと話題になりつつある昨今では、大豆のような素材は、とても貴重なものではないかと考えます。

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