身近にある有用な植物として、セージ(薬用サルビア)を取り上げる。

医療 食と健康

ずば抜けた薬効を持つ、その名も「薬用サルビア(セージ)」。中世ヨーロッパより、その効能は現在に伝わり、料理の重要なパーツとしても、その有用性はあまりあります。

人間にとって、有用な植物は数々あれど、おそらくこの「薬用サルビア」というものは、その筆頭ではないでしょうか?もちろん、入手のしやすさというものが前提にありますが。

かりに日本での有用植物の筆頭はなにか?と自問すれば、即座に「ドクダミ」と答えますが、その有用さの範囲の広さ、効果の深さという点から見た場合、セージとは比較になりません。

セージ
セージ

多年草ですが、勢いよく成長しだすのは初夏ぐらいからで、秋も深まるまで、なんとか利用し続けることができます。冬場は、ほとんど葉を落としていますが、ベランダなど、直接の霜を防いでやれば、問題なく年を越します。

とにかく栽培が容易で、もともと害虫のたぐいを寄せ付けない性質があります。できれば、毎年、刺し芽をして、元気な新株を絶やさないようにしたいものです。直径25センチ程度の鉢に充実させておけば、本当に充分な利用に耐えられます。

さて、まず薬効についてですが、こういった情報を得るときのよりどころとしている、井沢一男著の「薬草カラー図鑑、続・同、続続・同」の3冊に記載されていません。まあ、日本に自生していて、古くから民間療法に使われてきたことが、それにのっている条件のようなものですから、しかたがありません。

それと、南江堂の「生薬学」にも、記載がありませんでした。当然、日本薬局方にもありません。

最後のよりどころとなるのは、やはりモーリス・メッセゲ氏の「メッセゲ氏の薬草療法」です。1986年の再版ものですが、本当に良いものを手に入れておいたと、自分に感謝しています。

さて、それによれば、この植物の薬効は、以下のようになります。

・興奮作用
  過労(特に頭をつかう人)、貧血症、回復期の病人、神経衰弱、神経過敏症

・強壮作用
  嘔吐、習慣性の下痢、胃弱、腸弱

・収斂作用
  出血、白帯下、不正出血、せき

・殺菌作用
  口内炎、歯肉炎、口蓋咽喉炎、外傷、膿瘍、潰瘍、しもやけ、打撲傷、捻挫

・その他、解熱作用、血糖値正常化作用、利用作用、鎮痙、疲労回復作用
  尿閉、腎不全、水腫、痛風、リウマチ、頭痛、寝汗

並べていっても、きりがないくらいです。

なかでも有名なのは、1630年、フランスのトゥールーズでおきたペストの大流行で、死人の懐をあさっていて捕まった盗人の話です。助命の代償として、病にかからない方法を明かしました。それは、
薬用サルビア・タチジャコウソウ(タイム)・ラベンダー・マンネンロウ(ローズマリー)の4種からつくったビネガーを、体中に塗っていた』というものでした。その後、さらにニンニクをくわえて、よりいっそう強力なものとなった『4人の盗人のビネガー』として、世に名高いものとなります。

採取と保存は、とても簡単です。開花直前に、花と葉をまとめて採取し、陰干ししておけばよいだけです。私は、ほとんど「浸剤」として使用しています。要するに「お茶」です。

乾燥セージ
乾燥セージ

私がセージを利用するのは、おもに消化器系全般の不調の場合です。

昔から、煎じた漢方薬をよく飲んでいましたので、セージのお茶は「おいしい」ぐらいです。実際には、いわゆるお茶や紅茶のような淹れかたではなく、土瓶で、かるく煮出すようにしています。

【注意】:漢方でいうところの「表・熱・実」、つまり普段から体質的に活発で、気力あふれるような人には向きません。血液過剰傾向を促進してしまうということのようです。

現在は、なんでもネット通販で手に入ります。便利でなによりです。私は、乾燥セージをまとめ買いするために、かつては、はるばる名古屋まで出向いたことがありました。たしか古出来か、百人町あたりだったと記憶しています。乾燥セージ、朝鮮人参、甘草、黄連、半夏その他の生薬です。生薬類は、自分で「甘草瀉心湯」を調合するためでした。現在、ネットの地図情報を見ても、それらしき薬種卸はみあたりません。

変化の激しい業界だったようです。

次に食用としての話です。

ブーケガルニとしてセージを使うなど、主に肉料理でのスパイス系としての利用は、広く知られているところです。また、それを見越して、スーパーなどの食材コーナーにも置かれています。

そういった意味でのレシピは、ネットで簡単に見つかるでしょうが、ここでは海外でのセージを用いたレシピを、ご紹介します。

セージをつかった、はずせない20のレシピ(20 Sage Recipes We Can’t Resist)”というところです。以下に、料理のタイトルだけを挙げます。


1.ブラウン バター セージ スキレット チキン
2.ブラウンバター&セージパスタ
3.山羊のチーズ、セージ、バターナッツ スカッシュの秋のパスタ
4.揚げセージの葉
5.フライパンで焼き上げたニョッキのブラウン バター セージ ソース添え
6.焦がしバターとクリスピー セージのラビオリ
7.セージの簡単ローストチキン
8.レモンゼスト入りセージティー
9.ガーリックとセージのカリフラワースープ
10.ブラウン セージ バター チキン ピカタ マッシュルーム パスタ添え
11.先取りサイダーとセージグレービー
12.ローストパンプキンセージスープ
13.アップルサイダーセージポークチョップ
14.きのこトースト
15.芽キャベツと栗のセージとレモン添え
16.ベイクド セージ チキン ミートボール
17.セージマッシュポテト
18.セージペスト
19.パンプキンセージビスケット
20.ジューシーなガーリック ポーク チョップのセージ バター添え

自分の直観としては、やはり1番のスキレットでチキンを焼いたものが、一番おいしそう、というか、無難に思えます。海外版のレシピを紹介しながら、自分自身は、冒険心がすこぶる足りません。

今後、セージを使った料理を、自分でやってみるとしたら、ドライに近い葉を、細長い豚肉に取れないように巻き付けて、フライパンで焼く・・・ようなものをやってみようかと思います。そんな料理は、とっくにレシピがそろっているかもしれませんが、それを知らずにするチャレンジは、りっぱな冒険であると、自分に言い聞かせて。

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